ヤブキリの生態

ヤブキリ

生息地

沖縄・南西諸島をのぞく日本全土

体長

45-55mm前後

特徴

体色は緑が普通。まれに全身が黒褐色になるものもいます。羽は腹端より僅かに出ます。頭頂から羽の先まで背面を貫くように褐色の筋があります。

一見キリギリスに似ますが、羽をのぞいた体長はより小さめ、後肢も短めで、樹上生活に適応したコンパクトな体型です。反面顎や脚の棘はキリギリスより長く、より捕食に特化しています。趺節も発達しています。また夜の活動がメインとなるため触角もやや長い。羽は腹部より短くなることはなく、また特に目だった模様もありません。またウマオイとも混同されますが本種は雌雄で羽の形が極端に異ならず、体の大きさの違いで一目瞭然です。メスの産卵管は長めで、腹部と胸部を足したぐらいの長さです。キリギリスと異なりまっすぐに伸びています。

生態

主に樹上で生活しますが、藪や草原でも見られます。植物が茂った場所であればどこでも見かけると言っても過言ではないほど生息しています。ただし地面が常にぬかるんでいる場所や乾燥が激しいところでは見られないか、個体数は著しく減ります。

若齢幼虫はキリギリスやヒメギスなどと混生し、タンポポなどの花の上によく見られ、主に花粉や花弁を食べています。しかし成長とともに樹上や藪など草丈の高い方へ移り住むようになります。脱皮回数は通常6回。回数を重ねるごとに肉食性が強くなります。体のつくりもだんだん肉食に適するようになり、大顎が徐々に伸び、脚の棘も長くなってゆく。若齢幼虫は丸みを帯びた顔なのに対し、終齢になる頃には顔の半分近くを大顎が占めるようになります。

キリギリスの幼虫は背面に二本の線を有しますが、本種の幼虫は背面中央及び複眼の後ろから濃い褐色の線が延びて前胸まで続いています。複眼の後ろの線は成長とともに薄れていき、亜終齢幼虫で消えてしまいます。

食性はきわめて幅広く、様々な昆虫・小動物から種々の葉・果実、蕾や新芽などを食べます。メスや終齢幼虫は特に貪欲で、自分と同じかあるいはそれ以上の体長の相手にも飛びかかって食べてしまうことがあります。飼育下でもありとあらゆる物を食べ、本種の食に対する適性の広さがうかがえます。しかし塩分の濃い物や、あまりにも偏った餌の与え方はさけるべきです。

昼と夜では鳴き方を少し変え、夜の鳴き声は20-30秒ほどで、「シリリリリ…」というように聞こえます。昼はキリギリスの声に似た感じになり、「ギー…」と言うように聞こえます。しかし「チョン」という合いの手を入れることはありません。またキリギリスほど頻繁には鳴かず、やはり夜の方が鳴き方が盛んです。交尾も主に夜間行われ、メスははじめオスの腹部、尾端近くにある誘惑線を舐めるようにしていますが、オスを受け入れると尾端のみでつながって、ぶら下がったような格好となります。メスの尾端に精球が受け渡されると交尾は終了します。メスはやがてそれを食べて卵を発育させる栄養とします。卵が成熟するとメスは地面に降り、産卵管を差し込んで土の中に一つずつ卵を産み付けます。一部の卵はキリギリス同様、二度冬を越して孵化します。

卵は4月頃孵化、2か月ほどの幼虫期間を経て成虫になります。関東では大体、梅雨の半ば頃です。羽化してから性成熟するまで時間を要し、本格的に鳴き出すには10日ほどかかります。成虫寿命は普通2か月ほどですが、まれに11月ぐらいまで生きるものが居て、弱々しく鳴いています。 飼育下では年を越すこともあるほど長命です。キリギリスやヒメギスほど人に対して警戒心が強くなく、人が側にいるにもかかわらず鳴き続けたり、捕らえて手の上に載せたりしても平気でいたりします。

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