ハリガネムシの生態

ハリガネムシ

体長

数mm~数cm

特徴

水生生物であるが、生活史の一部を昆虫類に寄生して過ごします。

オスとメスが水の中でどのように相手を捜し当てるかは不明ですが、雄雌が出会うと巻き付き合い、オスは二叉になった先端の内側にある孔から精泡(精子の詰まった囊)を出し、メスも先端を開いて精泡を吸い込み受精させます。メスは糸くずのような卵塊(受精卵の塊)を大量に生みます。

1、2か月かけて卵から孵化した幼生は川底でうごめき、濾過摂食者の水生昆虫が取り込みます。幼生は身体の先端に付いたノコギリで腸管の中を進み、腹の中で「シスト」の状態になります。「シスト」は自分で殻を作って休眠した状態であり、-30℃の冷凍下でも死にません。

水生昆虫のうち、カゲロウやユスリカやトビケラなどの昆虫が羽化して陸に飛び、カマキリカマドウマなどの陸上生物に捕食されると寄生し、2 – 3か月の間に腹の中で成長します。まれに何らかの要因でシストもしくは幼生のまま水辺近くの草の露に排出され、それを草ごと摂取したバッタやコオロギなどの草食性昆虫に偶発的に寄生することもあります。また、寄生された昆虫は生殖機能を失います。成虫になったハリガネムシは宿主の脳にある種のタンパク質を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませ、宿主の尻から脱出します。池や沼、流れの緩やかな川などの水中で自由生活し、交尾・産卵を行います。

寄生生物より外に出る前に宿主が魚やカエルなどの捕食者に食べられた場合、捕食者のお腹の中で死んでしまいますが、捕食者の外に出ることができるケースもあります。

カワゲラをはじめとする水生昆虫類から幼生および成体が見つかることがあります。また、昆虫だけではなくイワナなどの魚の内臓に寄生する場合もあります。

ヒトへの寄生例が数十例あるようですが、いずれも偶発的事象と見られています。ハリガネムシを手に乗せると、爪の間から体内に潜り込むと言われることがありますが、全くの俗説で、成虫があらためて寄生生活にはいることはありません。