蛆虫(ウジムシ)の生態

蛆虫(ウジムシ)

生息地

世界各地

体長

10~15mm

特徴

ウジムシは足は全くなく、頭も見かけ上は存在しません。細長い体には付属物がほとんどなく、頭部の方がとがっているものが多いです。後方に気門が開き、そこを水面に出せば呼吸ができます。これは水生昆虫に見られる適応ですが、どろどろにとろけた腐敗物も液状であるから有効な適応です。この仲間の幼虫は全体としては森林土壌や水中、陸上などのさまざまな環境に生息するものがあり、必ずしも不潔なものではありません。しかし腐肉や糞などに発生するものがもっとも身近で、しかも印象が強いため、ウジと言えばこのようなものに発生するもののことを指すのが普通ですね!

このようなものに発生するハエはイエバエニクバエキンバエなどです。これらのウジの体は色白で、偏平でなく頭の方へ細まっています。脚に当たるものはなく、全身を波打たせるようにして進みます。人家周辺で見かけるもう一つのウジはコウカアブ類のもので、体の表面はやや硬く、偏平で灰褐色をしており、動きはにぶいです。下水周辺などに出没します。

動物の死体や汚物には即座と言ってよいほど素早く出現します。親バエが直接に幼虫を産むものがあるため、卵が孵化するまでの時間すらかかりません。液体化した腐敗物の表面に気門を出し、多数が動くと汚物の表面全体がざわついて見えます。便所が水洗化されていない所では、便器の穴や便槽のふたを開けて中をのぞき込めばこの様子が観察できます。

死体や糞便に大量に発生するため、大多数の人間は蛆に対して強い嫌悪感を覚えます。蛆のお陰で糞便や死体が処理されることは理解できたとしても、容認し難い不気味さを覚える人間は少なくありません。そのような汚物や不潔にしているものが発生源とされるため、成虫のハエもろとも衛生害虫として認知されています。

マゴットセラピー

傷の手当や治療が不十分で不潔な包帯を放置された場合など、傷口にウジがわく場合があります。けが人にとってその感触は極めて不快であるとのことだが、ウジが膿や腐敗した部分を食べることで傷口が清潔になり、むしろ傷の状態がよくなったり、患部を含めた周辺部位まで至る切断や切除を免れる場合があります。第一次世界大戦中、既に傷口にウジが発生した兵士の生存率が突出して高いことには注目が集まったらしいです。

ウジは、正常な組織や生きている組織を食べることはない上に、殺菌効果のある分泌液を出しながら腐敗した細胞や壊死細胞のみを食べるので、感染症の予防効果があります。また、分泌液は肉芽細胞や毛細血管の再生を促進させる働きもあります。

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